安芸の小京都 竹原アルバム

故郷竹原の多彩な写真やゆかりの品を載せて、思うがままにエピソードを綴ります。本稼働の来年度までブログ記事を書く特訓中!!

答えイッパツ

 1年前に上野にある国立科学博物館で開催された「日本を変えた千の技術展」を訪れた時、とても懐かしいものが沢山展示されていた。有難いことに全展示品が撮影自由だった。

 中に入ると見た使った覚えのある電気製品や通信機器などがぞろぞろ。最初に遠い思い出がよみがえったのが、この「答えイッパツ!カシオミニ」(1972年発売)である。電子卓上計算機でありながら手のひらサイズだった。今ならワンコインで買えてしまう電卓が、その当時の価格が¥12800だったらしく、テレビCMで何度も宣伝されようが一般家庭ではまず買わない買えやしない時代である。ところがこれを中学校の教室へ持ち込んだ生徒がいたのである。休憩時間に皆に取り囲まれ、見たこともない賢い機械を廻しながら試しの計算が色々と行われた。表示部は液晶ではなく青緑に光る6桁の7セグの蛍光表示板、テンキーには珍しい[+=]と[→]があり、小数部表示は[→]でスクロールしていたようだ。 

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カシオミニ(2018/12/19撮影)

  もう記憶が定かではないが10÷3=3.33333で、これに3を掛けたら10だったのか9.99999となったのかがもう思い出せない。当時、毎週楽しみに見ていたスタートレックで人に危害を加え始めた喋るコンピュータへカーク船長が「10÷3を最後の桁まで計算して答えろ」と命令してオーバーロードさせたか、それを計算させて不安定となった電卓をコンピュータ心臓部へ投げ込んで狂わせたかの回があり、それを試してみた記憶のみが残っている。

 そして大学時代では実験で関数電卓が必要となり、駅前のイマイチでカシオの関数電卓fx-30と、その後にプログラム可能なfx-502を購入したのであった。当時のシャープ製はドットの英数文字でプログラミングが可能であったが、カンニングに使われるのか試験への持ち込みは不可、カシオ製は7セグ表示のみだったので許されていた。電卓による操作や全ての関数・数値はプログラムとして記憶ができ、その表示はFF-05、FE-B3・・のような機械語と言われる16進数的なものだった。もちろんこれを見ただけでプログラムや数式に逆変換ができるなら、試験に出る複雑な計算式群や計算順序を予め入れておけば良い。試験問題の数値を打ち込めば瞬時に答えが出せるし、機械語を逆変換すれば答案用紙に計算式とその手順に答えが書けてしまうのである。試験時間の2時間をかけても終わらない複雑な問題がたった30分で離席できる。これこそ1980年の「答えイッパツ!カシオミニ」であった。 

 次に展示で見つけたのがパーソナルコンピュータとトレーニング用コンピュータ。この4台が私の人生の線路を引いてきたといえる。最初がシャープのベーシックマスター・レベル2で、大学時代、なぜか友人がこれを持っていて1週間借りてプログラミングの世界を初めて知った。これがきっかけでNECのPC-8001を親に買ってもらい、今でも夜の呉線電車の棚にダンボール箱を載せて広島から竹原へ帰る様子を思い出す。まだソフトウェアという言葉は無かった頃で、手で打ち込んだプログラムをテープレコーダでメタルテープへ録音/再生して保存していた40年前。PCのカンブリア紀のような時代である。

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ベーシックマスター・レベル2(2018/12/19撮影)

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PC-8001(2018/12/19撮影)

 

 会社に入ると職場でもPC-8001が未だ働いていた。アスキーやI/Oといったコンピュータ・ホビー雑誌が分厚くなってきたのもこの頃で、すぐに継機機のPC-8801へと入れ替わり、暫くすると8インチフロッピー・ドライブがつながるこのPC-9801が登場する。そして5インチフロッピーと大容量5MバイトHDD内蔵のPC-9801F3が職場で使われ始めたのが1984年。何に使っていたかと言えば原始的なワープロか昼食後のゲームだった。なのに仕事自体は未だ穿孔テープやパンチカードが活躍していたのである。

 

 最後にNECのこのTK-80が私を離郷させた張本人である。大学のゼミに入るとこれが数台棚にあって肥やしになっていた。そこでこれを使ってサーボモータや電磁石を制御する風力発電機の模型を作って卒論として仕上げた結果、卒業後に「ひがしへ~と向かうれっしゃ~で~」に乗るはハメとなった。因みに40年前に買ってもらったPC-8001は捨てられず今も押入れに眠ったまま。電源が入ったとしても専用モニタもテレビが使えるモジュレータも無いので自室のコレクション棚で肥やしと化すであろう。

 

 記事を書いているうちに何だかハイになってしまったが、イマイチで買ったカシオのfx-30を使って12音階の周波数係数を数日使って少数10桁まで求めたところで脳みそがオーバーロードしてしまい、10年以上経ってからその値が電卓で「2の1/12乗」を押せば瞬時に求められる係数であったことを思い出した。 

 

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TK-80(2018/12/19撮影)